今、低アルブミン血症で治療中の子たちが3頭います。
低アルブミン血症とは、血液中のアルブミンが少なくなることを言います。低アルブミン血症になると腹水や胸水、血栓症などを起こすことがあります。
低アルブミン血症の原因は大きく3つに分類されています。
1.アルブミンの原材料の摂取不足
2.体でアルブミンを作ることができない
3.アルブミンが体から過剰に失われる
「アルブミンの原材料の摂取不足」は、食べ物の質が悪い、食事を摂らないなどが考えられますが、よほどの偏食が長く続かない限り起らないと思います。
アルブミンは肝臓で作られます。「体でアルブミンを作ることができない」というのは多くの場合、肝不全であることが多いです。多くの場合、血液検査、超音波検査などで診断がつくかと思います。
アルブミンは、尿やうんちの中に排泄されることがあります。その排泄される量が多くなると「アルブミンが体から過剰に失われる」という状態になります。この原因として、腎疾患、腸疾患などが考えられます。腎疾患、腸疾患は血液検査、尿検査、超音波検査で調べます。
つまり、低アルブミン血症を起こしたときは、
1)栄養バランスの良い食事を摂っているか?
2)肝臓は問題ないか?
3)腎臓は問題ないか?
4)小腸は問題ないか?
ということを考えていくと多くの場合は診断がつきます。
でも、ややこしいのが点滴した後や門脈疾患です。これらも落ち着いて調べていくと診断がつくかと思います。また、小腸の問題は症状や一般的な検査では診断が難しいことがあり、生検が必要なこともあります。でも、時に、この生検が様々な問題を起こすこともあるので、その実施には躊躇することも少なくありません。
どんなときでも、確定診断には考えられる病気を1つ1つ調べていくことが大切です。
ちなみに、私が今回診た子たちは、腎臓に原因があったワンちゃん、腸疾患疑いのワンちゃん、まだ原因が特定できていないのワンちゃんの3頭です。