以前にもブログに書いたが、皆さまが普通に使われている犬のおもちゃの中には命にかかわるような危険なものが少なくない。ガムの実例は以前に書いたが、今回はロープのおもちゃについてだ。先日、腸閉塞を疑うようなとても激しい嘔吐を発症した犬がいた。原因は、写真のロープだったが、これは全長20cmほどある。この犬はこれを飲み込んでいた。おそらく、飲んですぐに症状がでたのではなく、取り出したロープを見ると、1週間前に飲んだとかいう話ではなく、もっと以前に飲み込んだと思えた。
この犬は、異物を摂取する機会が多いようで、ペットシーツ、服?、繊維などがロープと一緒に見つかった。通常、胃内に異物があっても腸閉塞ほど激しい嘔吐を示すことは多くない。この犬は突然、激しい嘔吐を示した。このとき、当院が休診で他の病院で、十二指腸内異物が指摘されたようだった。私のもとへ来たときは、嘔吐は続いていたが比較的落ち着いており、食欲もあった。超音波検査で胃内に大きな異物が確認できたので、異物を摘出し、写真のような状態が確認できた。ペットシーツや何かの繊維がおもちゃのロープに絡んで、胃から十二指腸に流れたようだ。でも、ロープは胃に引っかかり、身動きできなくなっていたようだ。紐状異物の腸閉塞に似た状況だ。激しい嘔吐が起こったとき、異物に十二指腸がからみ、十二指腸で閉塞が起こっていたかもしれない。症状が落ち着いたときは、閉塞が少し解除されたのかもしれない。いずれにしても、治療が遅れると命に関わる重大な事故になっていたかもしれない。
犬が口に入れるものには最大限の注意を払うこと、そして、フレンチブルドックは予想もしない大きな異物を飲み込むことがある、この2点は知っていた方がいい。
もう1つ、異物を飲み込む癖のある犬は、飲み込んだものが小さなものであっても、それを核にペットシーツや繊維がからんで腸閉塞を起こすことがある。これも過去に何度か経験している。どんな異物にも常に危険があるので、注意が必要だ。