常在菌といって健康なワンちゃんの皮膚にも必ず細菌がいることをご存知ですか?
ただ、その数は限りなく少なく問題になることはありません。しかし、一旦皮膚病を起こすとその常在菌が増殖し激しいかゆみや皮膚炎を起こすことがしばしばあります。増殖する細菌は数種類ありますが、ほとんどはブドウ球菌です。また、ブドウ球菌でも2種類のものがよく見つかり、両者とも治療が必要になります。
そんな中、時折、ブドウ球菌以外の菌を見つけることがあります。
以前は治りの悪い桿菌、あるいは無害の雑菌などと予測をつけて治療していましたが、最近、この考え方が当てはまらないようなときがあります。
桿菌とは棒状の菌を言うのですが、これが見つかると「やっかいな細菌か?」と考える一方で「無害の雑菌では?」と考えます。また、有害であれ無害であれ、このような細菌が見つかるときはかなりひどい皮膚炎を呈していることも確かです。
私の治療は複雑でも何でもなく、ただ見つかったものは治療する というだけ。このような雑菌が見つかれば病原菌であれ、雑菌であれもちろん殺菌あるいは除菌します。
細菌がいれば当然抗生剤は必要。しかし、これだけでは治らないのが桿菌。そこで、薬浴です。これは非常に効果的、一気に改善に向かうかもしれません。
以前から気になっていたのはこの点です。薬浴だけで簡単に治ったときは、その桿菌は治療が難しい病原菌ではないのでしょう。そうなると、以前は無害と考えていた雑菌が、決して無害ではなく皮膚炎の悪化の一因になっているのでは?と考えてもよいのではないでしょうか?これを腐敗菌ともいうのでしょうか?詳しいことは私もよくわかりません。
どうして、このようなちょっと難しいお話をしたかというと、このような雑菌は日常のお手入れにちょっとした問題があるときに増えがちだからです。このような雑菌がからんだ皮膚炎の治療にはシャンプーが必須です。しかも、雑にシャンプーするのではなく、念入りに体の表面の雑菌を洗い落とすように丁寧なシャンプーが欠かせません。
また、乾燥の仕方にも問題が潜んでいるかもしれません。過剰な乾燥も有害ですが、乾燥しすぎで雑菌が増えるようにはあまり思っていません。逆に乾燥が非常に不十分なケースでこの雑菌が問題になっているように思います。
シャンプーは治療に欠かせませんが、正しく実施しないと悪化させることもあります。洗い方や時間はもちろん、乾燥の方法も気をつけて下さいね。
●雑菌が繁殖したときに、よく見られる症状