先日、東京で開催された日本獣医皮膚科学会学術大会・総会へ出席してきた。これは一番楽みな学会だ。国内で新しい皮膚科の情報が得られる場である。今年は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが中心だった。今や、どんな分野でもそうだと思うが、特にアトピーは一般臨床家では手が届かない様な研究がされている。あまりにも研究され、その結果、逆にあまりにも多くの不明な点が出てしまった分野ではないだろうか?
アトピーといっても、実は病態は1つではなく、様々な原因と病態があるようだ。学会が一般臨床家向けということもあり、それほど深い話がされることはなかったが、最近ではアトピーを発症する1つの要因として、複数の遺伝子異常が関連していることがわかってきたらしい。また、短時間であったが、TARCの説明をしてくれた。TARCとは、ヒトのアレルギー検査の1つとして利用されているケモカインの1つだが、恥ずかしながらこの言葉を初めて聞いたのは、先日参加した内科学アカデミーで行われた小林先生の講演だ。正直なところ、私にとって、小林先生の話は難解でチンプンカンプンに近かった。でも、とても貴重な研究だそうだ。その価値がわからない私は。。。
でも、今回の講演で少しだけTARCのことが分かった。要は、TARCは、アトピーの病変部の角化細胞から分泌され、このTARCがTh2リンパ球を局所に集め、このTh2リンパ球がアレルギー反応の原因であるIgE産生などを促すということだ。難解でしょ?私は、丸暗記したが、あまり理解していないかもしれない。おそらく、1か月もすると、きっと忘れる。だから、「TARCはアトピーの患部から分泌されるものなので、これを測定すれば、アレルギーの強さがわかる」と覚えておこうと思う。。。これも忘れそうだ。だったら、「TARCでアレルギー反応の強さがわかる」と覚えておこう。獣医が使う「アレルギー強度」とよく似ているので覚えやすい。難しかったけど何か勉強した気分になれて、嫌いな講演内容ではない。でも、あまり覚えていないので、ひょっとしたら私には意味がないのかもしれない。
あと、食物アレルギーの話もあった。私も食物へのこだわりは強い方だと思っているので、しっかりと聞いてきた。もちろん、これからの診療に還元していこうと思っている。飼主の皆様には皮膚病の治療にとって食物がどれほど大切かを理解してもらいたい。診察ではしっかりお話ししていく。
また、今回の学術大会のタイトルの最後に「総会」とつく。私はこの総会に初めて参加してきた。札幌の獣医師会で開かれる総会は何度か参加してきたが、皮膚科学会の総会は初めてだ。ちょうど、社団法人になった初年度というタイミングだった。1年間の事業報告、理事会で決まった案件の決議など、どこでもされるような内容だが、司会と議事進行を務める学会長の雰囲気が楽しくて、これもなかなかおもしろかった。来年からもぜひこの総会にも参加しようと思う。
今回も写真がない記事となったが、次回は蕁麻疹についてお話しようと思っている。蕁麻疹も再発するものは原因特定に苦労することがある。すでに、記事はできているのだが、今、写真を探している。